祇園宵山回想
さて、毎年恒例の夏の東京行が目前に迫って参りましたので、その前に先月の京都宵山観光の回想でも。
本来なら、京都旅行から帰ってすぐに書くべきだったのですが、色々ばたばたしていて、遅れに遅れてしまいました。
さて。
京都の伝統祭事、祇園祭。『山鉾』と呼ばれる巨大な御輿のようなものを巡行させるのが習わしとのことですが、その前日晩の祭りを『宵山』と呼ぶようです。
森見登美彦先生の小説『宵山万華鏡』はこの宵山が舞台となっていますが、祭好きの私としては是非一度見てみたいと思い立ち、ついでに森見登美彦先生の作品の舞台も少々巡りつつ、京都観光に繰り出してみました。
京阪電車祇園四条駅を降り立つと、すぐに鴨川が。
現在アニメが放送中の『有頂天家族』などの舞台となっている場所ですね。
まずはこの近辺の禅寺、建仁寺を訪ねてみました。
風神雷神図屏風で有名な古刹ですが、法堂の創建800年記念の『双龍図』の天井画など、私好みの素敵な禅寺でした。
特に、禅庭が素晴らしく、暫し正座してぼんやりと風景を楽しんでしまいました。
一生懸命にスケッチブックに庭の様子をデッサンしていた外人さんがいたのが印象的でした。
やっぱり、こういうお庭は正座をしてゆっくり眺めるに限ります。時間のある時ならば、半日ばかり縁側に座していたいところですね。
その後、てくてくと鴨川沿いを歩き、賀茂川と高野川の合流点、俗に言う『鴨川デルタ』まで上っていきました。
『四畳半神話体系』の下鴨幽水荘があったり、狸の下鴨一族が居を構えている辺りですね。
折角なので、下鴨神社に参拝することにしました。
由緒正しき縁結びの神様です。私にも良縁を運んで下さるでしょうか?
下鴨神社の表参道はとても気持ちのよい森になっていて、これまた素敵な御神木があったりします。
その後適当に哲学の道辺りを散策したりして、いよいよ本番の宵山に向かいました。
陽が落ち、道路が歩行者に解放されるにつれ、増えていく人、人、人。
八坂神社の辺りから、四条通りを烏丸通りと交わる辺りまで進むにつれ、巨大な山鉾が姿を現しました。
正直、私は山鉾を御輿の延長線上のものと思っていましたので、この大きさは想定外です。
一番最初に出会う山鉾『長刀鉾』はビルの数階にまで及ぶ高さで、圧倒されてしまいました。
夜が深まるにつれ、山鉾の提灯は輝きを増し、方々でチキリン太鼓の音が鳴り響き、何とも言えない不思議な雰囲気が醸し出されていきます。
折角なので、全三十三台の山鉾を全部この目に収めてやろうと歩きだしましたが、人ごみに揉まれて中々先に進めません。
函谷鉾。
前掛けは重要文化財です。
伯牙山鉾。
何だか人参のような形です。
岩戸山鉾。
この鉾には、中に上げてもらうことができました。
鉾の中からの様子です。
チキリン太鼓が鳴り響き、とても不思議な感覚で下を見下ろすことができました。
蟷螂山鉾。
内側のカマキリのカラクリ人形が動いているのがユーモラスでした。
船鉾。
文字通り、船の形をした鉾です。
この船鉾の前では、浴衣を着た女の子たちが、『船鉾ちまきいかがですか~、お守りちまきいかがですか~』
と、京都弁での独特の節回しをつけて、船鉾ちまき販売の口上を唄っていました。
あんまりにも可愛らしかったので、私も一つ購入。
歩き回ったので、ジンベエが着崩れしてくたくたですw
このちまき販売の口上は、『他ではでません、今宵限り~』など、鉾ごとで異なっていて、これが伝統なんだな~、と面白く思いました。
菊水山鉾。
この鉾も隣の建物から中に入って観覧することができたようですが、余りに人が並んでいたので断念。
夜の長刀鉾は壮観です!
四条傘鉾。
小さめながら、ユーモラスな形をした鉾です。
橋弁慶山鉾。
武蔵坊弁慶と牛若丸の人形が設置してあります。
そのほか、名前が分からなくなってしまった鉾の写真も沢山ありました。
全部の鉾を見て回ろう、と意気込んでみましたが、何十万という人の訪れるなかでは無謀な試み、20台程の鉾の見物で、お腹いっぱいになってしまいました。
露店は見たことも無い数が立ち並び、あちこちで様々なイベントが行われていました。
珍しいものでは、カポエイラの実演などもあり、すっかり魅入ってしまいました。
駆け足で紹介しましたが、宵山、パワフルで幻想的で、最高に素敵なお祭りでした!
次は、昼の山鉾巡行まで見物に行けたら、と欲張りなことを思ってしまいます。